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長寿命化は対応年数の確認から-その2

長寿命化は対応年数の確認から-その2

BCJの耐用年数評価の流れと特徴

(一財)日本建築センター(以下、「BCJ」といいます。)では、2019年5月から鉄筋コンクリート造建築物の耐用年数評価を開始しました。

その評価業務の流れと特徴は以下のとおりです(図1)。

長寿命化は対応年数の確認から-その2

特徴1鉄筋コンクリートの中性化等を調査し、耐用年数を推計

評価対象建築物の適切な箇所からコンクリートコアを採取し、中性化の状況等を確認します。

そして、「外壁等の屋外側からの中性化が、その最外側鉄筋のごく一部に到達する年数」を推計し、(残存)耐用年数を評価します。

なお、その後に多くの鉄筋で錆が進行し、コンクリートに多数のひび割れが生じるなど構造耐力上危険な状態(寿命)となるのは、さらに相当な期間の経過後となります(図2)。

耐用年数と寿命の関係

特徴2学識経験者による評価委員会で適切かつ中立公正に評価

我が国のコンクリートの耐久性分野を代表する学識経験者6名で構成する耐用年数評価委員会において、調杏計画や評価内容が適切かつ中立公正に審議されます。

特徴3改修等による長寿命化効果を反映した耐用年数も評価

建物の現況をベースに今後も引き続き通常の維持管理がなされることを前提とした耐用年数評価= 「現況評価」に加え、中性化抑制等の効果がある改修計画等の提案を踏まえた評価=「改修計画評価」も必要に応じて行います。

意外に長かった耐用年数

BCJでは過去2年間で、15棟の鉄筋コンクリート造建築物の耐用年数評価を行いました。その15棟の築年数の分布は32年~78年(平均:49.3年)です。

評価時点から起算した耐用年数(=残存耐用年数)の評価結果は、その半数以上が100年以上という結果でした(図3)。

残存耐用年数の評価結果

ちなみに、新築時から通算した耐用年数は、15棟中14棟が100年以上という結果でした。

もちろん、この15棟の結果だけからマンションの耐用年数は100年以上あると結論付けることはできませんが、一般に数十年ともいわれているレベルよりはかなり長い年数が期待できそうです。

そうであれば、解体までの時間的な余裕を得ることができますので、マンションの終活を見据えた本格的な長寿命化計画として長期マネジメント計画(注)を作成することも考えられます。

長寿命化の計画作成の合理的な進め方

長寿命化に取り組むのは、早ければ早いほど良いと思いますが、緊急度の高さから言えば、やはり旧耐震基準のマンションは急ぐべきだと思います。

旧耐震のマンションに対しては自治体から耐震診断の働きかけや補助等の支援も用意されています。

しかしながら、国土交通省の平成30年度マンション総合調脊を見ると、耐震診断をしていない管理組合が63.7%もあります。

また、耐震診断をした34.0%のマンションのうち、耐震性があると判断されたのは約40%に過ぎません。

そこで、長寿命化の検討のための調脊としては、以下の進め方をお勧めしたいと思います。

終わりに

マンションの老朽化は年々、確実に進んでいきます。そして、その構造的劣化が修復不能なレベルまで進むと、マンションとして寿命を迎え、住むことができなくなります。

そして、最後に解体・除却を管理組合で実施する必要があります。

本稿では、耐用年数評価をスタートとする長寿命化への取組について説明しました。

耐用年数評価を通じてマンションの今の状態を知り、工学的に適切な改修計画等を作成し、長期にわたって継続していく。このことにより、住み続けることができる期間をできるだけ延ばしていくことが現実な進め方だと思います。

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