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マンションの建替え法等の基礎知識-①

マンションの建替え法等の基礎知識-①

1.建替えの意義

マンションは、時間の経過によって、建替えが必要になります。

しかし、建替えについて、区分所有者全員の意見を一致させることは困難です。

建替えが必要であったり、多数によって建替えが望まれるにもかかわらず、建て替えられずに放置されることは、建替えを望む区分所有者にとって不都合ですし、社会的な損失でもあります。

地域の防災や安全、衛生という観点からも、深刻な間題が生じます。

そこで、区分所有法は、全員の意見が一致しなくても、集会における多数決による決議がなされれば、建替えができると定めました(区分所有法(以下、単に条文を掲げるときは、同法の条文) 62条1項) 。

建替えは、(1) 従前と同一の敷地上に再建建物を建てる、(2) 従前の敷地の一部を、再建建物の敷地とする、(3) 従前の敷地の全部を、再建建物の敷地の一部とする、(4) 従前の敷地の一部を、再建建物の敷地の一部とするという、4つの場合に認められます。従前の敷地全部を隣地と交換して、交換した隣地の上に建物を再築するなど、従前の敷地と全く重ならない上地の上に建替えをすることはできません(図1)。

マンションの建替え法等の基礎知識-①

2.建替え決議

1.集会の招集

集会における建替えの議題は、区分所有者にとって極めて重要な事項ですから、議決権行使には十分な熟慮期間が必要です。

そのため通常の招集通知が1週間前に発すればよいのに対し(35条1項本文)、建替え決議を会議の目的(議題)とする艇会の招集には、集会の会日より少なくとも2か月前に招集の通知を発しなければなりません(62条4項本文) 。

招集通知の内容についても、通常の招集では会議の目的(議題)を通知すれば足りるのに対し(35条1項本文)、建替えを議題とするときは、議案の要領の通知が必要です(35条5項) 。

さらにこれに加えて、についても、通知しなければならないものとされています(62条5項) 。

①建替えを必要とする理由

②建物の建替えをしないとした場合における建物の効用の維持または回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額およびその内訳

③建物の修繕に関する計画が定められているときは、その計画の内容

④建物につき修繕積立金として積み立てられている金額

2.決議

建替え決議には、区分所有者および議決権の各5分の4以上の賛成が必要です(62条1項) 。

区分所有者が建替え決議の議決権を行使するに当たっては、建替えに関する屯要な事項が示されていなければ適切な判断をすることができません。

そこで、建替え決議においては、区分所有者の適切な議決権の行使を確保するため、の4つの事項を定めなければならないものとされています(62条2項) 。

これらのうちの一部でも定められていなければ、決議は無効です(東京高判平成19.9.12判夕1268号186頁) 。

集会において建替え決議をした場合には、議事録に、各区分所有者の賛否を記載し、または記録します(62条8項、61条6項)。

後日、決議の反対者に対し、売渡請求権を行使することがあり得ることを考慮して、決議に賛成したか、賛成しなかったかを明らかにしておく趣旨です。

①新たに建築する建物(再建建物)の建築についての設計の概要

②建物の取壊しおよび再建建物の建築に要する費用の概算額

③背用の分担に関する事項

④再建建物の区分所有権の帰属に関する事項

3.売渡し請求(建替事業を全員で行うための方策)

1.催告

建替え決議がなされても、建替事業に反対する者が権利を保有したままであったり、建替事業に参加するかどうか不明の区分所有者がいたりする状態では、建替事業を推進することはできません。

そこで、建替え決議がなされた場合には、集会の招集者はまず、決議に賛成しなかった区分所有者(決議に賛成した区分所有者以外)に対し、建替えに参加する意向を尋ねる催告をします(63条1項) 。

催告を受けた者は、催告を受けた日から2か月以内に建替えに参加するか否かを回答しなければならず(63条2項)、その期間内に回答しなかった場合には、建替えに参加しない旨を回答したものとみなされます(63条3項) 。

一旦不参加の回答をした場合であっても、期間内であればこれを撤回して建替えに参加することは可能です。

2.売渡請求権の発生

建替え決議の賛成者、および催告に応じて建替えに参加する旨を回答した区分所有者(以下、両者を併せて「建替え賛成者」といいます。)には、建替えに参加しない者(建替えに参加しない旨を回答した区分所有者、および参加しない旨の回答をしたとみなされる無回答の区分所有者を含みます。

以下、「建替え不参加者」といいます。)の区分所有権および敷地利用権を、時価で売り渡すよう請求する権利が認められています(63条4項前段) 。

これが売渡請求権です。

建替え参加者は、建替え決議があった後に建替え不参加者から敷地利用権のみを取得した者についても同様に、敷地利用権について売渡請求権を行使することができます(63条4項後段) 。

建替え賛成者は、全員の合意により買受指定者を指定できます(63条4項前段)。

買受指定者の指定がなされた場合には、買受指定者も売渡請求権を行使することができます。

買受指定者は、区分所有者以外でも構いませんので、建替事業に参加するデベロッパーを買受指定者と定めることも可能です。

買受指定者の指定は、建替え賛成者の全員の合意がなくてはなりません。

3.売渡請求権行使の効果

マンションの建替え法等の基礎知識-①

売渡請求権が行使されると、売渡し請求をした者と売渡し請求の相手方との間で、売渡請求がなされた時点における時価を売買代金として、売買契約が成立します(形成権) 。

売買契約の成立によって、建替え賛成者において建替事業を促進することができるとともに、建替えに反対しその意思に反して専有部分と共用部分の共有持分を奪われる少数者についても、売買代金を取得することができますから、その利益が守られます。建替えには多額の費用がかかることから、建替えが決議されたとしても、費用をかけて建物の再建に参加するよりも、区分所有関係から離脱したいという区分所有者が現れることも当然に予想されますが、売渡請求権は、このような考え方を持つ区分所有者にも配慮する仕組みになっているわけです。

売渡請求権行使の相手方(建替え不参加者)は、売買における売主の立場に立ち、専有部分を賃貸している場合には借家人を退去させたうえでこれを引き渡す義務を負います。

時価は、現存建物について建替え決議がなされていることを前提として、売渡請求権を行使した当時における区分所有権と敷地利用権とを一体として評価した客観的取引価格です(神戸地裁伊丹支部判平成13.10.31 -2001 WLJPCA10319015)。

この価格の算定に関しては、①建替えが完成した場合における再建建物および敷地利用権の価額から建替えに嬰した経費を控除した額(①の額)、および、②再建建物の敷地とすることを予定した敷地の更地価額から現存建物の取壊し費用を控除した額(②の額)について総合判断を行ったうえで、最終的な建物の時価を計算し、これに対象となる区分所有部分および敷地利用権の配分率を乗じて算定するものとされます( 東京高判平成16.7.14判時
1875号52頁) 。

売渡請求権は、催告期間の満了の日から2か月を経過すると行使できなくなります(63条4項前段) 。

売渡し請求は、建替事業を全員で行うための方策です。

売渡請求権が行使されると、同時に区分所有権および敷地利用権は売渡し請求者に移転しますから、建替えに反対する者が排除されて、区分所有権および敷地利用権の全部を建替えに参加する区分所有者が取得することとなり、
賛成者のみで構成される団体が建替えを実行できることになります。

4.相当の期限の許与

売渡し請求の相手方となる建替え不参加者は、決議からわずかの時間でマンションから退去することを迫られることにもなりかねません。

そこで建替え不参加者の不利益を考慮し、明渡しにより生活上著しい困難を生ずるおそれがあり、建替え決議の遂行に甚だしい影響がないと認められる顕著な事由がある場合には、裁判所は、建替え不参加者の請求により、代金の支払いまたは提供の日から1年を限度に、建物の明渡しにつき相当の期限を許与することができます(63条5項)。

4.合意の擬制

建替え決議がなされた場合、

①建替え決議に賛成した区分所有者

②建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した区分所有者

③区分所有権または敷地利用権を買い受けた買受指定者( これらの者の承継人を含む。)

が、建替え参加者になります。そのうえで、建替え参加者は、全員で、建替え決議で定められた内容により建替えを行う旨の合意(民法上の組合契約と類似の建替え契約)をしたものとみなされます(合意の擬制) (64条) 。

この建替え参加者全員の合意は、建替え不参加者全員に対して売渡請求権が行使され、建替え不参加者に帰属する区分所有権および敷地利用権がなくなったときに成立します。

その合意の成立により区分所有関係は消滅し、区分所有者全員で構成される従前の団体とは別個の建替えを行う旨の合意をした者の団体により、建替えが実行されることになります。

5.建替え事業の進め方

以上のとおり、区分所有法には多数決により建替えを決議できることが規定されていますが、決議がなされた後の建替事業の事業主体や、実務を取り進めるためのルールの定めはありません。

そのために、建替え決議がなされても、内部的に意思決定が円滑に行われず、また、外部的にも金融機関からの融資や工事請負契約の締結がうまく進められないなどの支障が生じていました。

そこで、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(以下、「建替え等円滑化法」といいます。)が制定されています。建替え等円滑化法によって、都道府県知事等の認可を得て、法人格を持つ建替組合を設立し、関係者の利害を法的に調整しながら、建替え事業を円滑に実現する方策が定められています。

 

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