理事会規則で定めた理事の『排除条項』は無効
管理組合の理事が管理組合に対し原告か被告になったときは、その日をもって理事の資格を失うー。
こんなルールが理事会の「規則」で定められていたマンションの区分所有者が「理事に係る区分所者等の選定・被選定者を制限るものだ」などとして、同条項の無効確認などを求めて大阪地裁に提訴した事件があった。
2019年4月の1審判決では「一定の合理性がある」などとされ原告が敗訴したが、同年10月3日の大阪高裁判決は、「同条項は無効」と判断するなど区分所有者の主張を一部認めている。判決は確定済み。
問題になったルールは15年、理事会で承認され、理事会規則に加えられた。
管理規約には、管理規約・集会の決議に著しく違反する行為があると認められる場合、理事会決議を経た上で当該区分所有者の役員就任を制限する旨の規定が設けられ、それ以外の理事や理事会について必要な事項は「理事会の決議に基づいて定める」と規定されていた。
大阪高裁の中村也寸志裁判長は、あらかじめ明文化された上記のような規定を超えて、さらに管理規約上に「理事の資格喪失事由を定めることを理事会規則に委任する旨の規定は存在しない」と言及。
「理事の資格制限事由を理事会で決めるには、本件管理規約による明文の委任が必要」だとする解釈を示した。
「理事や理事会について必要な事項は理事会決議で定める」とする管理規約の規定については、「規約の定める趣旨の範囲内で内容または手続きを具体化することを念頭に置いたもの」だと認定。
管理規約に定められていない、理事の資格喪失事項を新たに定めることを「理事会に委任したものと解することはできない」と述べ、理事会規則の規定は「管理規約による委任の範囲を逸脱した無効なものと言わざるを得ない」と結論付けた。
<判例時報2482号>
(マンション管理新聞より)