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マンションの管理計画認定制度

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マンションの管理計画認定制度

マンションの管理計画認定制度と各種ガイドラインの策定および改訂について

国土交通省住宅局 監修

マンションの管理の適正化と再生の円滑化を目的として、令和2年6月にマンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」といいます。)が改正・公布されました。

令和4年4月の改正法の全面施行に向け、令和3年12月までに政省令・告示の公布、各種ガイドラインの公表が行われています。

マンション管理適正化法の改正内容

今般のマンション管理適正化法の改正は、行政の役割の強化を通じたマンションの管理適正化が主な目的です。

国による甚本方針の策定のほか、地方公共団体による役割の強化として、マンション管理適正化推進計画の作成、個々のマンションの管理計画の認定、管理適正化のための助言・指導等の制度が創設されました。これらの改正内容については、令和4年4月1日の施行を予定しています。

(1) 国による基本方針の策定(改正マンション管理適正化法第3条)

マンションの管理の適正化を推進するため、国、地方公共団体、マンション管理士、マンション管理業者等の関係者の役割、マンションの管理の適正化に関する日標、管理計画認定の基準、助言・指導等の判断基準の目安等について定めています。

マンションの管理計画認定制度

(2)地方公共団体によるマンション管理適正化の推進

①マンション管理適正化推進計画(改正マンション管理適正化法第3条の2)

地域におけるマンションの管理適正化の計画的な取組を推進するため、都道府県等(改正マンション管理適正化法第3条の2第1項) は、国の定める甚本方針に基づきマンション管理適正化推進計画を作成できることとしています。

マンション管理適正化推進計画では、都道府県等における管理適正化の目標、マンションの管理状況を把握するための措置(実態調査等)、管理適正化の推進のための取組(セミナー開催、専門家派遣等)、地域に応じた管理計画認定の基準等を定めることとされています。

②管理計画の認定(改正マンション管理適正化法第5条の3)

管理組合による管理適正化に向けた自主的な取組を誘導するため、マンション管理適正化推進計画を作成した都道府県等の長(計画作成都道府県知事等)が、個々のマンションの管理組合からの申請に基づき、マンションの管理の方法、資金計画、管理組合の運営状況等を記載した一定水準以上の管理計画を認定します。認定は5年ごとの更新制となっています。

管理計画認定は、適正な管理計画を有するマンションが評価されることを通じて、区分所有者:の意識の向上や適正な管理水準の維持をねらいとしており、申請時に個々のマンションから同意を得た場合には、当該マンションが認定を受けている旨を(公財)マンション管理センターのホームページで公表する予定です。

また、認定のインセンティブとして、(独)住宅金融支援機構が提供する【フラット35】やマンション共用部分リフォーム融資の金利引下げ措置を検討中です。

●事前確認について

(公財)マンション管理センターが導入する管理計画認定手続支援サービスでは、管理組合が管理計画認定手続支援システム(インターネット上の電子システム)を利用することができます。

当該サービスでは、管理組合が申請依頼をすると、あらかじめ(公財)マンション管理センターが実施する事前確認にかかる講習を受けたマンション管理士が、認定に必要な添付書類や認定基準を満たしているか等の事前確認を行います。認定基準を満たしていれば、(公財)マンション管理センターが管理組合に対し事前確認適合証を発行します。

同サービスを利用せず、管理組合が地方公共団体に直接、管理計画認定の申請を行うことも可能ですが、事前確認適合証の発行を受けたものについては、地方公共団体がその結果を活用することで事務負担が軽滅され、スムーズな申請につながることが期待されます。

マンションの管理計画認定制度
国土交通省では、管理計画認定に係る事務の円滑化を図るため、管理計画認定制度の概要や認定基準の確認方法等を記載した「マンションの管理の適正化の推進に関する法律第5条の3に基づくマンションの管理計画認定に関する事務ガイドライン(以下「認定事務ガイドライン」といいます。)」を策定しています(令和3年11月30日公表) 。

 認定事務ガイドラインの概要

 1)認定制度に関する事項

認定事務ガイドラインでは、マンションの管理計画認定制度に関する各種手続について記載しています。

例えば、マンションの類型ごとの申請主体(複合用途型や団地型など)による申請方法、(公財)マンション管理センターが提供する管理計画認定手続支援サービス(事前確認)を利用する場合や、他の団体の管理の評価サービスを利用する場合の申請の流れ、自治体が指定認定事務支援法人に委託する場合の留意点等を記載しています。

 2)認定基準に関する事項

基本方針で示した認定基準について、認定基準を確認するために必要な書類(例① ~③)、審査における留意点(例④)を記載しています。

※例

①:「管理者等が定められていること」は「管理者等を選任することを決議した集会の議事録の写し」をもって確認すること等。

②:「管理費と修繕積立金の区分経理」は「集会で決議された貸借対照表と収支計算書」をもって確認すること。

③:「修繕積立金の平均額が著しく低額でないこと」は「長期修繕計画の写し」をもって確認すること等。

④:建替えが予定されているマンションについては、長期修繕計画等でその時期を確認すること(この場合、30年以下の長期修繕計画でも認定を可能とする。)等。

3) その他

新築マンションを対象とした仕組み(予備認定)の概要、各種様式等について記載しています。

管理適正化のための助言・指導等(改正マンション管理適正化法第5条の2)

都道府県等は、管理適正化のため必要に応じて管理組合に対して助言・指導(著しく不適切な場合は勧告)をすることができることとしています。

助言・指導や専門家の派遣等の取組により、管理が不適切なマンションの管理水準の底上げを図ることを目的としています。

国土交通省では、都道府県等が助言・指導等を効果的に行えるよう、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律第5条の2に碁づく助言・指導及び勧告に関するガイドライン(以下、「助言・指導及び勧告ガイドライン」といいます。)」を策定しています(令和3年11月30日公表) 。

助言・指導及び勧告ガイドラインの概要

1) 都道府県等の準備行為について

都道府県等は、助言・指導および勧告を効率的に進める観点から、各マンションの管理状況について、アンケートや条例に基づく届出制度による実態の把握を行い、情報を整備した台帳や個々のマンションの管理状況を客観的に確認できるようにするため、あらかじめ助言・指導および勧告を行う際の判断基準を記したチェックシートを作成することを勧めています。

2) 助言・指導および勧告の実施について

都道府県等は、助言・指導および勧告を行う際に、管理組合の管理者等が、具体的に何をどのようにすればいいのかが理解できるように、必要な期間を勘案して実施期限を定めた上で、当該措質の内容を具体的に示す必要があること等を記載しています。

3)助言・指導および勧告後のフォローアップについて

都道府県等は、助言・指導の措置を講じたマンションについては、その後の管理状況を踏まえて勧告を行う必要があるかどうかを判断するためにも、積極的に経過観察等を継続して行うことを勧めています。

4) 助言・指導および勧告を行う場合の判断基準の目安について

甚本方針の別紙1では「法第五条の二に基づく助言、指導及び勧告を行う際の判断の基準の目安」を掲げています(図1:基準概要) 。

マンションの管理計画認定制度

その他の取組(予備認定)

新築マンションを対象とした認定(予備認定)

法律に甚づく管理計画認定制度は、管理組合が申請主体となる既存マンションを対象としたものですが、マンションの適切な管理を担保するためには、分譲段階から適切な管理規約(原始規約)や長期修繕計画案の作成や、修繕積立金額の設定を確保することが菫要です。

このため、法律に甚づく制度とは別に、マンション分譲会社が申請主体となる新築マンションを対象とした認定の仕組み(予備認定)についても実施することを検討しています。

法律に基づく管理計画認定制度と相まって、全体としてマンションの適正な管理につなげていくことを期待しています(図3:予備認定の概要) 。

マンションの管理計画認定制度

各種ガイドラインについて

上述したように、国土交通省においては、改正マンション管理適正化法に基づいて創設された制度の施行準備を進めているところです。

制度施行のタイミングを踏まえ、認定事務ガイドライン、助言・指導及び勧告ガイドラインの策定の他に既存のガイドラインについても、本年9月に改訂を行ったところです。

以下で既存のガイドラインの改訂内容等を概説します。

①長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント等の改訂(令和3年9月28日)

長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント等(以下「長期修繕計画作成ガイドライン」といいます。)は、主としてマンションの管理組合向けに大規模修繕工事の前提となる長期修繕計画の作成や見直しに当たっての指針を示すものです。

マンションで快適な住生活を送るためには、専有部分をリフォームなどにより快適な居住空間とすることも大切ですが、共用部分の劣化などに対する修繕工事が必要です。それに対する備えとして、あらかじめ長期修繕計画を作成し、修繕積立金の額の設定を行い、定期的に見直すことが必要です。

長期修繕計画は将来に発生するであろう修繕工事などを推定し、それに必要な額を算出するものであり、実際の修繕工事などを発注した時の見積り額とは異なることを留意いただきたいと思います。

なお、管理計画認定制度の創設を踏まえ、このガイドライン等について以下の見直しを行っています(令和3年9月28日公表)図4:長期修繕計画作成ガイドラインの改訂の概要

マンションの管理計画認定制度

1) 望ましい長期修繕の計画期間として、現行のガイドラインでは25年以上としていた既存マンションの長期修繕計画期間を、新築マンションと同様、大規模修繕工事2回を含む30年以上としました。

この見直しの内容は、管理計画認定制度における認定基準にもなっています。

また、窓のサッシなどの建具や給排水管の取替えなどの工事は、修繕周期が長期間にわたることから計画期間を上回り、計画期間内に当該工事が実施されない場合がありますので、見直し時には注意が必要になります。

従前の長期修繕計画作成ガイドラインでも、修繕周期が計画期間を上回る修繕工事の費用についてはコメント部分に「計上していない旨を明示」するよう記載しておりましたが、今回の改訂では「参考情報として修繕周期が計画期間を上回る当該工事の予定時期及び推定修繕工事の費用を明示する」こと、「多額の費用を要する修繕工事については修繕積立金を計画的に積み立てる観点から、あらかじめ計上しておくことも考えられる」ことを追記し、より注意を促しています。

2)大規模修繕工事の修繕周期の目安について、工事事例等を踏まえ一定の幅を持たせた記載としました。

外壁の塗装塗替え: 12年→ 12~ 15年、

空調・換気設備の取換え: 15年→ 13~ 17年など、マンションの建物の仕様や地域の特性、修繕状況などを踏まえて周期を設定し、長期修繕計画の作成・見直しを行うことが大切です。

3) 社会的な要請を踏まえて、修繕工事を行うに当たっての有効性等を追記しました。

マンションの省エネ性能を向上させる改修工事(壁や屋上の外断熱改修工事や窓の断熱改修工事等)の有効性や、エレベーターの点検に当たり、国土交通省が平成28年2月に策定した「昇降機の適切な維持管理に関する指針」に沿って定期的に点検を行うことの重要性の追記をしました。

4)その他

個々のマンションによっては留意が必要となる、耐震性不足のマンションにおける対応(耐震診断および耐震改修実施についての検討、また耐震改修費用を負担できない場合の補助および融資の活用の検討など)、専用部分の給排水管の取替えにおける対応(共用部分の給排水管の取替えと同時期に専有部分の取替えを行うことで費用が軽減できる場合の検討)についても本文およびコメントに追記しています。

また、改修工事の参考資料としてアスベスト対策に係る「現居住共同住宅外壁修繕工事における石綿含有仕上げ塗材対応ガイドライン」を追加し、従前の長期修繕計画ガイドラインから記載しているその他の参考資料も最新のものに更新しております。

②マンションの修繕積立金に関するガイドラインの改訂(令和3年9月28日)

マンションの修繕積立金に関するガイドライン(以下「修繕積立金ガイドライン」といいます。)は、主に新築マンションを購入する者向けに、修繕積立金の目安を平米単価で示すとともに、積立方式(均等積立方式と段階増額積立方式)について解説することで、適切な修繕積立金の額の設定や理解を促すことを目的としたものです。このガイドラインについても管理計画認定制度の創設を踏まえ、以下の見直しを行っています(令和3年9月28日公表) 図5:マンションの修繕積立金に関するガイドラインの改訂の概要

マンションの管理計画認定制度

1)適切な長期修繕計画に基づく修繕積立金の事例を踏まえ、目安とする修繕積立金の㎡単価を更新しました。

この見直し内容は、管理計画認定制度における認定基準にもなっています。

2)ガイドラインのターゲットとして、既存マ ンションも対象に追加し、修繕積立金額の目安に係る計算式を見直しました

※計算式の変更点:既存マンションにおける長期修繕計画の見直し等に用いられることを想定し、すでに積み立てられた修繕積立金の残高をもとに修繕積立金の目安額を算出する計算式に変更

長期修繕計画作成ガイドライン、修繕積立金ガイドラインは新築マンションの購人予定者、既存マンションの購入予定者、区分所有者、管理組合向けに長期修繕計画および修繕積立金の基本的な考え方や修繕積立金の額の目安などを示したものです。

修繕積立金ガイドラインで示す額は、あくまでも事例調査から導き出した「目安」であり、修繕積立金の額が「目安」の範囲に収まっていないからといって、直ちに不適切であると判断されるわけではありません。

そのような場合には、管理組合において長期修繕計画の内容や修繕積立金の設定の考え方、積立方法等についてチェックすることが大切です。

分譲会社においては、長期修繕計画の基本的な考え方や修繕積立金の額の水準やその設定の方法について、本ガイドラインを活用して購入予定者に対し、内容を説明し理解を得るよう努めることが重要となります。

長期修繕計画ガイドラインおよび修繕積立金ガイドラインは適正な長期修繕計画や修繕積立金の設定・積立の促進を目的としており、また両ガイドラインの見直しの内容は認定事務ガイドラインに記載した認定基準にもなっ
ています。助言・指導および勧告ガイドラインでは管理が不避切なマンションの管理水準の底上げを図ることを目的とし、都道府県等が助言・指導等を効果的に行えるよう策定しました。

各種ガイドラインを通じて、マンション管理の適正化につながることが期待されます。

まとめ

マンションの管理・再生の主体は区分所有者等であり、今般の法改正の内容や、マンションの適正な管理の必要性や再生のための各種制度について、広く周知を図ることが重要と考えております。

このため、国土交通省では、各種関連資料について一覧性を持って知ることができるポータルサイト(マンション管理・再生ポータルサイト)を設けており、これらも活用しながら、制度に関する固知を進めていきたいと考えております。

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