■ 1. 基本原則:区分所有者全員の意思で決定(原則全員一致)
しかし、全員一致は現実的に困難なため、
法律では一定の事項について「多数決」で決めることが可能とされています。
■ 2. 多数決の種類(要件の違い)
| 決議の種類 | 区分所有法の条文 | 内容 | 決議要件 |
|---|---|---|---|
| 普通決議 | 第39条1項 | 管理行為(日常的な維持・管理) | 区分所有者および議決権の各過半数 |
| 特別決議 | 第17条、第62条など | 重要な変更・建替え・大規模修繕など | 区分所有者および議決権の各4分の3以上など(内容により異なる) |
| 全員一致決議 | 第17条1項など | 専有部分・共用部分の本質的変更、敷地処分等 | 区分所有者全員の同意 |
■ 3. 普通決議の具体例(第39条)
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管理費・修繕積立金の額決定
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管理者(理事長など)の選任・解任
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共用部分の軽微な変更など、日常的な管理運営事項。
決議要件:
「区分所有者の過半数」かつ「議決権の過半数」※「頭数」と「議決権(持分割合)」の両方で過半数が必要です。
■ 4. 特別決議の例
| 内容 | 条文 | 要件 |
|---|---|---|
| 重要な共用部分の変更(例:外壁デザイン変更、エレベーター増設) | 第17条2項 | 4分の3以上 |
| 建替え決議 | 第62条1項 | 5分の4以上 |
| 管理規約の設定・変更・廃止 | 第31条1項 | 4分の3以上 |
| 管理者の報酬決定 | 第39条3項 | 過半数(普通決議) |
■ 5. 全員一致を要する事項の例
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共用部分の本質的変更(例:共用廊下を専有化するなど)
- 建物の用途変更(例:住宅→事務所ビル)
■ 6. 注意点(実務上)
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「議決権行使書」や「委任状」も有効に算入可能。
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「棄権」は賛成に含まれない。
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「規約で多数決の要件を加重」することは可能だが、緩和は原則不可。