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防火管理者と防災管理者

防火管理者と防災管理者

防火管理者と防災管理者の違い

名称 防火管理者 防災管理者
対象 火災に対して 地震・毒性物性発散等に対して

修了証

(見本)

防火管理者と防災管理者 防火管理者と防災管理者
概要 防火管理者とは、多数の者が利用する建物などの「火災等による被害」を防止するため、防火管理に係る消防計画を作成し、防火管理上必要な業務(防火管理業務)を計画的に行う責任者を言います。
消防法では、一定規模の防火対象物の管理権原者は、有資格者の中から防火管理者を選任して、防火管理業務を行わせなければならないとされています。
防災管理者とは、大規模・高層の建築物等(防災管理対象物(*1))において、地震その他の「火災以外の災害」による被害を軽減するため、防災管理に係る消防計画を作成し、防災管理上必要な業務(防災管理業務)を計画的に行う責任者を言います。
消防法では、防災管理対象物の管理権原者は、有資格者の中から防災管理者を選任して、防災管理業務を行わせなければならないとされています。
 防火管理と防災管理の消防法上の相違点は、「火災による被害の防止・軽減」と「地震等の火災以外の災害による被害の軽減」にあるといえます。
 なお、防火対策と防災対策の一元化を図るため、防災管理対象物においては、「防火管理者が行うべき防火管理業務は、防災管理者が行うこと」とされています。
要件

防火管理者に選任されるための要件は、次の通りです。
1.防火管理業務を適切に遂行することができる「管理的、監督的地位」にあること。
※この要件は、防火管理者に選任されるときの要件であり、防火管理者講習を受講するための要件ではありません。
2.防火管理上必要な「知識・技能」を有していること(防火管理講習修了者、学識経験者等
 上記2の「知識・技能」は、学識経験者等を除き、一般的には「防火管理講習」の課程を修了することにより得られます。
 この「講習修了資格」、講習種別によって「甲種」と「乙種」とに区分されます。甲種防火管理講習修了者はすべての防火対象物で防火管理者に選任できますが、乙種防火管理講習修了者は、防火管理者に選任できる防火対象物が、比較的小規模なものに限られています。

防災管理者に選任されるための要件は、次の通りです。
1.防災管理業務を適切に遂行することができる「管理的、監督的地位」にあること。        
※この要件は、防災管理者に選任されるときの要件であり、防災管理者講習を受講するための要件ではありません。
2.防災管理上必要な「知識・技能」を有していること(防災管理講習修了者、学識経験者等
甲種防火管理者としての資格を有していること(甲種防火管理講習修了者、学識経験者等)  

分類

甲種防火管理者
大規模な防火対象物や、火災発生時に人命への甚大な被害をもたらすと考えられる施設(福祉施設を含む)を含む、全ての防火対象物の防火管理者となる資格を有する。たとえば、
・不特定の人が出入りする建物(映画館病院・複合商業ビルなどの特定防火対象物)で、収容人員が30人以上、かつ延べ床面積が300平方メートル以上
・特定の人が出入りする建物で、収容人員が50人以上、かつ延べ床面積が500平方メートル以上
・特別養護老人ホームグループホーム・障害者支援施設などの福祉施設(特定防火対象物のうち6項ロの区分に該当する施設)で、延べ床面積に関係なく収容人員が10人以上
の建物(甲種防火対象物という)などは甲種防火管理者としての資格を持つ者を防火管理者に選任しなければならない。

乙種防火管理者
甲種以外(延べ面積が甲種防火対象物未満のもの)の防火対象物(乙種防火対象物という)の防火管理者となれる。例としては複合型商業施設でのテナント等。

分類なし

防火管理:計画書
防災管理:計画書

防火管理者は、防火管理に関する消防計画の作成し、消防署長へ届け出る必要があります。
防火管理者は、消防計画に基づき、消防計画に基づく防火管理上必要な業務の実施する必要があります。
(防火管理台帳の作成、消防訓練の実施、消防用設備等の点検・整備など)

防火管理に係る消防計画

 防火管理者の行う業務のうち、特に重要なものは、「防火管理に係る消防計画」の作成です。

 「防火管理に係る消防計画」とは、それぞれの防火対象物やテナントにおいて、火災が発生しないように、また、万一火災が発生した場合に被害を最小限にするため、実態にあった計画をあらかじめ定め、職場内の全員に守らせて、実行させるものです。「防火管理に係る消防計画」に定める事項は、おおむね以下のとおりです。

  1.  自衛消防組織に関すること。
  2.  防火対象物についての火災予防上の自主検査に関すること。
  3.  消防用設備等の点検及び整備に関すること。
  4.  避難通路、避難口、安全区画、防煙区画その他避難施設の維持管理及びその案内に関すること。
  5.  防火壁、内装その他の防火上の構造の維持管理に関すること。
  6.  定員の遵守その他収容人員の適正化に関すること。
  7.  防火管理上必要な教育に関すること。
  8.  消火、通報及び避難の訓練その他防火管理上必要な訓練の定期的な実施に関すること。
  9.  火災、地震その他の災害が発生した場合における消火活動、通報連絡及び避難誘導に関すること。
  10.  防火管理についての消防機関との連絡に関すること。
  11.  増築、改築、移転、修繕又は模様替えの工事中の防火対象物における防火管理者又はその補助者の立会いその他火気の使用又は取扱いの監督に関すること。
  12.  (1)から(11)までに掲げるもののほか、防火対象物における防火管理に関し必要な事項に関すること。

防災管理に係る消防計画
 防災管理者の行う業務のうち、重要なものの1つに「防災管理に係る消防計画」の作成があります。
 「防災管理に係る消防計画」とは、それぞれの防災管理対象物やテナントにおいて、万一地震等の災害が発生した場合に被害を最小限にするため、実態にあった計画をあらかじめ定め、職場内の全員に守らせて、実行させるものです。「防災管理に係る消防計画」に定める事項は、おおむね以下のとおりです。

防災管理者に関する基本的な事項として次に掲げる事項
 自衛消防の組織に関すること。
 避難通路、避難口その他の避難施設の維持管理及びその案内に関すること。
 定員の順守その他収容人員の適正化に関すること。
 防災管理上の教育に関すること。
 避難の訓練その他防災管理上必要な訓練の実施に関すること。
 防災管理についての関係機関との連絡に関すること。
 ⑤に掲げる訓練の結果を踏まえた防災管理に係る消防計画の内容の検証と検証の結果に基づく当該消防計画の見直しに関すること。
 防災管理対象物における防災管理に関し必要な事項に関すること。

地震による被害を軽減する事項として次に掲げる事項
 地震発生時における防災管理対象物とそこに存する者等の被害の想定及び対策に関すること。
 防災管理対象物について地震による被害の軽減のための自主検査に関すること。
 地震による被害の軽減のため必要な設備及び資機材の点検並びに整備に関すること。
 地震発生時における家具、什器その他の建築物、工作物に備え付けられた物品の落下、転倒及び移動の防止のための措置に関すること。
 地震発生時における通報連絡、避難誘導、救出、救護その他の地震による被害の軽減のための応急措置に関すること。
 防災管理対象物における地震による被害の軽減に関し必要な事項に関すること。

毒性物質の発散等による被害の軽減に関する事項
 災害発生時における通報連絡及び避難誘導に関すること。
 防災管理対象物における災害発生時の被害の軽減に関し必要な事項に関すること。

消防計画の雛形
 「消防計画」は防災管理をされる防火対象物の使用状況の実態に合わせたものを作成してください。
 「消防計画って何?」、「どうやって書くの?」とお困りの場合は、次の「消防計画作成例」を参考として、ご覧ください。

防災管理の外部委託
 委託できる防災管理対象物は、管理的又は監督的地位にある者のいずれもが遠隔地で勤務していることその他の事由により防災管理上必要な業務を適切に遂行することができないと消防長又は消防署長が認めた、以下のものになります。

防災管理業務受託者による教育担当者
 防災管理業務の一部を受託するにあたり、受託する側も派遣する者に対して防火・防災に関する知識や技術の向上を図るため、派遣する営業所ごとに派遣員の教育をしなければなりません。 (「防災管理業務の受託を業とする法人等の教育担当者のための講習会について」(平成21年1月26日消防庁予防課長通知))
 この教育にあたる者は、一定の知識、技能の修得を目的とした防災管理に関する教育担当者の講習修了者でなければなりません。
 防災管理業務受託者による教育担当者の教育内容は、従業者の経験年数、担当する防災管理対象物の用途、規模などに応じたものとすることを心がけ、概ね次の事項について教育します。

自衛消防組織

一定の規模を超える施設は、自制消防組織を構成する必要があります。

自衛消防訓練とは

 火災や地震などの災害は、いつ、どこで発生するか予測できません。
 もし、災害が発生した場合、被害を大きくしないためには、消防隊が到着するまでの間に、従業員の方々が適切に対応行動をしなければなりません。
 そのため、繰り返しの訓練によって万一のときの対応を体で覚えることが必要なのです。

自衛消防訓練の根拠

 訓練の実施は、オーナーなど管理権原者に対する義務として消防法で定められています。また、防火管理者の責務のひとつになっています。(消防法第8条第1項、消防法施行令第4条第3項)
 多数の人が出入りする病院や百貨店・スーパーマーケットなどでは、年2回以上の避難訓練、消火訓練の実施が義務付けられています。(消防法施行規則第3条第10項)

自衛消防訓練の主な内容

 訓練は、万一災害が発生したときのとるべき行動を事前に学び、その行動要領を身に付けるものです。主な訓練として次のようなものがあります。

  1. 通報・連絡訓練
     119番の通報のしかた、放送設備の使い方などを覚えます。
  2. 消火訓練
     消火器や屋内消火栓の使い方を覚えたり、実際に使ったりします。
  3. 避難訓練
     階段などの避難経路を使って安全な場所まで避難してみるほか、避難器具などの使い方を覚えます。
  4. 総合訓練
     実際に火災が起きた場合等を想定し、自衛消防組織に基づく任務に従い、火災の発見から到着した消防隊への情報提供まで、総合的な活動を行います。

自衛消防訓練の主な内容

 訓練を行う場合は、前もって所轄の消防署・分署・出張所へ消防訓練実施計画届出書を提出して下さい。また、実施後、消防訓練実施結果報告書を提出していただくようお願いいたします。
 ご希望があれば消防署職員の立会いの下で行うこともできます。

    ・訓練実施時の注意事項(安全管理のポイント)
  1. まず、責任者と補助する人を決めます。
  2. さらに、訓練場所や周囲の安全を十分確認し、転倒などによるケガの防止に努めてください。
  3. 事前に服装や履物及び健康状態を把握し、支障があると判断した時は、その方は見学させてください。
  4. 避難器具などを使う時は、消防設備士など専門家のアドバイスを受けてください。
  5. 無理することはありません。「危ない!」と思ったら、訓練を中止しましょう。
  6. 訓練終了後、参加者にけが、体調不良になった人がいないか確認してください。