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初めての大規模修繕工事に取り組む管理組合へ

 

初めての大規模修繕工事に取り組む管理組合へ

大規模修繕工事と長期修繕計画

マンションの共用部分のメンテナンスとして修繕工事が始まったのは、1970年代中頃と言われています。

当時の分譲共同住宅は、質より鼠を優先して建築されたものが多く、外壁からの雨漏れ、バルコニーの垂れ下がりといった施工不良等に起因する不具合について、管理組合が不具合の原因追及や補修に積極的に取り組む活動が盛んになりました。

このような社会的背景の中から、今日一般的に行われているマンション大規模修繕工事の概念の甚礎が生まれました。

それから45年超の月日が経ち、新築されるマンションは、超高層型、複合用途型、大規模型、都市小規模型、団地型など多種多様な姿となり、また大規模修繕工事も、新築時の不具合対応や美観や性能の維持に加え、長寿命化改修や性能向上改修にも積極的に取り組む時代となっています。

大規模修繕工事とは、何でしょうか。

一般的には、マンションの快適な生活環境を長期的に継続することを目的とし、マンションの共用部分の構造体の劣化を保全するとともに不具合を改善し、加えて共用部分の基本性能や美観の維持・向上のために管理組合が行う工事のことを指しています。

マンションの寿命について明確な基準はありませんが、一旦マンションが作られると、管理組合は、このような大規模修繕工事を一定の期間おきに繰り返し、また必要な段階で設備改修や性能付与・性能向上などの改良工事を行い、寿命を迎えるまでマンション共用部分の機能を維持し続ける必要があります。

このために、長期修繕計画を整備し、計画する修繕・改良工事の内容・費用を目標に沿って想定し、そして工事に必要な費用を確保するために、修繕積立金の金額を決めて各区分所有者から徴収します。

初めての大規模修繕の位置付け

今は、新築されるマンションのほぼ全てに長期修繕計画が最初から整備されており、多くのマンションでは、長期修繕計画に定められた概ね築後12年前後の時期に初めての大規模修繕工事を行っているのではないでしょうか。

修繕・改良工事にかかわる建築技術者からみると、築10~15年程度の建物は一般的には築浅と捉え、建物の構造に重大な影響を及ぼすような劣化、性能の低下は少なく、建具や金物の取替えを行う高経年マンションより工事の内容はシンプルです。

一方、新築時の施工不良部分や雨仕舞や納まりなどの不具合、不便な使い勝手の部分など、初期不良のような課題に取り組む機会となります。

一般的なマンションにおいて行う、初めての大規模修繕工事の主な内容は、次のとおりです。

・鉄筋コンクリートのひび割れ、欠損等の不具合、劣化の躯体改修

・タイル等の浮きや剥がれの補修、清掃

・外壁等の塗装上塗り

・屋上防水の修繕、バルコニーや廊下防水の修繕

・目地や取合いのシーリングの打替え

・スチール製品の塗装

・手摺や窓、エントランス周囲の建築金物・建具の修繕・清掃

どんなタイミングで始めるのか

長期修繕計画は、建物の躯体や仕上げ、防水、金物などの共用部分について、原則として将来の劣化予測を元に作成しているものであり、長期修繕計画上の工事実施時期に必ず工事をしなければならない、といった強制的な性質のものではありません。

大規模修繕工事時期については、目安を示していると考え、工事の予定時期のおおよそ2年くらい前から、管理組合の体制を整え準備を進めると良いでしょう。

工事内容の検討や資金計画には時間がかかりますので、円滑な合意形成を行う上でも、工事の数力月前など着工直前に検討に着手して、早急に工事を進めるのは好ましくありません。

大規模修繕工事の具体的な内容はどうするか

長期修繕計画で予定している工事内容は、その全てを大規模修繕工事の時に必ず行わなければいけない、という強制的なものではありません。

劣化状況や改良要求、今後の劣化や社会情勢変動予測に応じた柔軟な対応が、必要になります。

例えば、外壁のタイルが多数浮いていて、長期修繕計画で予測していた工事支出より大幅な出費が必要となるかもしれません。

コンクリートのひび割れや欠損等の不具合も、どの程度生じているか実際に工事を行うまで数鼠が確定できません。

修繕という性質上、費用的に不確定な要素が計画の中に含まれている点に注意する必要があります。

また、居住者の要望が多く、駐輪場の出人口の扉の開錠方法を改善するなど長期修繕計画には人っていない使い勝手を良くする工事を、大規模修繕工事で一緒に行う必要があるかもしれません。

あるいは、バルコニーや共用廊下の床シートは、劣化が進んでいなければ長期修繕計画で予定していた張替えを次の大規模修繕工事に先延ばしして、資金を貯めておくなどといった工夫もできます。

長期修繕計画で予定した工事内容をなぞるのではなく、費用対効果やその後の大規模修繕工事の時期を想定した工事内容の再検討、さらには材料の選択等も必要となります。

初めて大規模修繕工事を行うマンションは、修繕積立基金があり新築後で修繕積立金からの支出も殆ど無いため、ある程度の費用が積み立てられおり、資金に余裕があるように感じるかもしれません。

一方、築30年、40年と経過するにつれ、屋根防水を大幅に改修したり、アルミサッシや玄関扉を取り替える、設備機器の取替えが必要となるなど、支出が増加する傾向にあります。

このため、初めの大規模修繕工事の際には、楽観的なお金の使い方をするよりは、その後の計画修繕工事のことを考慮した工事内容や資金計画の検討を心がけることも大切です。

大規模修繕工事の内容は、誰に相談するか

このように、柔軟な対応を行うことが、大規模修繕工事の満足度を向上させる上で大切な要素となりますが、その工事内容を検討し決定するのは管理組合です。

しかし、工事内容の検討を行うには、必要な情報が無ければ検討や判断は出来ません。そのマンションの劣化実態や要求に合わせたより良い大規模修繕工事を行うため、大規模修繕工事について専門知識のあるパートナー(コンサルタント等)に相談し、工事の前に調査や改修設計などを依頻して、工事の準備を進める方法があります。

パートナーとなる専門家は、マンションの大規模修繕工事のコンサルティングを得意とする設計事務所(建築士事務所)、管理会社の設計部門、施工会社、マンション管理士事務所、業界団体など幾つか挙げられます。

パートナーには、マンションの物理的状況を客観的に調査判断する技術力、状況に応じた設計や計画の提案力といったスキルの他に、管理組合と共に考えマンションの利益を守ることなどが求められます。

パートナーを決定する際には、かかる費用だけでなく、どのような業務提案をするか、技術力やコミュニケーション能力も確認することが望ましく、実際に担当する専門家・技術者と直接面談して決めることが重要です。

また、大規模修繕工事が終わっても、アフター点検の機会に立ち会ってもらったり、長期修繕計画の見直しを一緒に検討することもあり、長年にわたり関わりを持つことが多いので、管理組合との相性や工事後も相談できるかどうかなど、お互いの信頼性を見極めることも大切です。

管理を委託している管理会社は相談しやすいかもしれませんが、日常管理と大規模修繕工事は異なります。

日常的な管理の延長で、管理組合が期待する大規模修繕の専門的なパートナーの役割を全て期待すると、管理会社が出来ることと管理組合の期待にズレが生じることがありますので、注意が必要です。

管理組合の体制

どのような工事が必要か、いつ工事を行うのか、どんな工事会社にいくらで工事をお願いするのか、これらを検討し決定するのは管理組合です。

管理組合の意思決定は、理事会で検討を行った上で総会に議案を上程して決議を行います。

しかし大規模修繕工事の検討時期の理事が、大規模修繕工事に関係する様々な検討に必要な専門知識があり、時間の余裕がある方が就任できるとは限りません。

むしろ殆どのマンションでは、区分所有者の中にマンションの大規模修繕についての専門知識が豊富な方は少ないのが一般的で、工事発注の際には施工者と管理組合の間には専門知識の不均衡が生じがちです。

さらに、大規模修繕工事は、検討を開始してから工事が終わるまで2~3年程度の期間がかかります。

その間管理組合は、工事の内容、時期、工事会社の選定、工事金額の精査、工事期間中の対応などについて検討し、必要な段階ごとに総会で合意をしなければなりません。

これらの期間は、工事が無い期間と比較すると、理事会で検討する内容や労力など、これらにかける時間は飛躍的に多くなります。

また、管理組合の執行機関の理事会は、通常1~2年の任期で入れ替わることが多く、数年にわたる事業の継続に支障が出る場合があります。このため、多くのマンションでは、理事会の諮問機関として修繕委員会、長期修繕計画検討委員会等の名称で専門委員会を作り、理事会に代わって専門的な検討を行います。

委員の任期は、少なくとも大規模修繕工事が終わるまで継続することが一般的です。

また、専門委員には、専門知識のある区分所有者が加わると心強いですが、必ずしも全員が建築業界の関係者である必要はありません。

様々な職種や年齢層の方が集まり、公平で多様な視点で検討が出来ることが望ましいと考えます。

進め方

初めての大規模修繕工事は、多額の出費を支出するため区分所有者同士で検討し、様々な意見がぶつかり合う初めての機会となることが多いと思います。

進め方に熟練した専門委員会があるわけではなく、多くは手探りで進めていくのではないでしょうか。

図ー1(下図)に大規模修繕工事のフローを挙げますので、進め方の参考にしてください。

初めての大規模修繕工事に取り組む管理組合へ

進め方は一般的に、

・調べて知る(調査診断)

・計画する(修繕計画・資金計画の立案・見直し)

・具体的な工事の内容を図書にまとめる(設計)

・工事を実施する(工事)

となり、マンション規模の大小にかかわらず殆ど同じと考えて良いでしょう。

まずは、管理組合の体制を作ることから始めるのが良いでしょう。

併せてパートナーとなる専門家も選びますが、初めての大規模修繕工事の場合は管理組合としては不慣れな点もありますので、信頼できるパートナーを選ぶことが大切です。

調査診断では、マンションの劣化状況や区分所有者の要望を確認する調査・診断を行います。

エ事の範囲や内容は長期修繕計画で予定されていますが、実際の劣化状況などによって必要な工事内容が見えてきます。

病気治療のために検査を行うように、マンションに合わせた的確な計画を練る上では調脊が必要となります。

次の修繕計画・資金計画の立案・見直しでは、調査診断結果から分かった必要工事と、既存の長期修繕計画の内容を照合しながら、工事範囲、仕様、資金計画などをまとめていきます。必要に応じて長期修繕計画の見直しを行ってください。

本年9月28日に、国土交通省が長期修繕計画作成ガイドラインの改訂版を公表していますので、参考にしてください覧次は、修繕・改修の計画に沿って、大規模修繕工事の設計を行います。

仕様書や図面などの設計図書をまとめ、大規模修繕工事の具体像を描いていきます。

住まいながらの工事となるため、生活に配慮した工事の注意点や、補修数鼠が確定しない工事費用の精算方法などを、事前に設計図書に定めておきます。

その後、工事会社から見積りを取得し、実際に工事を行う施工者を選定します。

工事が始まると、検討・決定しなければならないことが次々に出てきます。

例えば、コンクリート躯体の不具合補修の実施数量と精算金額、外壁塗装の色彩計画や塗替えの仕上がり具合、居住者や近隣からの苦惜、新たに発見される不具合などです。

これらのことを工事会社やパートナーにお任せにするのではなく、最終的に決定権を持っているのは管理組合であるということに留意して進めてください。

また、足場を解体する前や竣工前には、発注者検杏をして出来上がり具合を確かめてください。

工事が終わると一段落しますが、記憶が新しいうちに工事の総括をすることをお勧めします。

修繕積立金会計から実際に支出した費用と、今後に重点的に取り組む事項を長期修繕計画に盛り込みます。

工事中に次の大規模修繕工事で取り組むテーマが見えてくるかもしれません。

将来の計画修繕工事へ向けて、不安の少ない計画としておくことが望ましいでしょう。

さいごに

マンションには、様々な考え方の方がいらっしゃいます。

考え方や認識の些細な違いから生じたちょっとした行き違いが、大きなトラブルに発展することもあります。

合意形成を円滑に進めるために、検討の進捗や課題を、適切なタイミングで説明会や報告会を行い、区分所有者全員に共有しておくことが求められます。

調査、計画、設計、工事への各段階において、情報共有やコミュニケーションを適切に行い、多くの関係者が気持ち良く計画・エ事を進められるよう、皆で助け合うという考え方に立って進めて行くことが、うまく行くポイントだと恩います。

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