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民法-売買契約

債務不履行

約成立の効果

契約が成立すると、当事者の間には権利や義務が発生する。約束をしたのだから当事者は契約に拘束され、自分の義務を果たさなければならない。また、勝手に解約することもできなくなる。

同時履行の抗弁権(533条)

売買契約のような双務契約は、契約が成立すると当事者双方に義務が生じる。それぞれの義務は平等であり、当事者双方は同時履行の抗弁権’ という権利を有する。

これは、当事者間で履行の時期が定められていない場合は、お互いの義務は同時に行うべきであり、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の1費務の履行を含む)を提供するまでは、自己の使務の履行を拒むことができるという抗弁権である。

ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この抗弁権を主張できない。

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①次のような義務が判例で認められている。

(1)不動産の売貫契約における「売主の所有権移転登記協力義務」と「買主の売買代金支払義務」

(2)未成年等を理由として契約が取リ消されたときの「契約当事者双方の返還義務」

契約の拘束力

義務を負う者がその契約内容に適合した債務を履行しないと、債務不履行となる。

さらに、債権者は一定の場合を除き、その履行(強制履行)を裁判所に請求することができる。

また、当事者間で契約の解除について取り決めを行っている場合を除き、法律で定められた事実に該当しなければ、契約の解除を行うことはできない。

債務不履行

債務者が、その債務の本旨に従った履行をしないときまたは債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害賠償を請求できる(「債務不履行による損害賠償請求」415条本文)。

ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因および取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、損害賠償を請求できない(同ただし書)。

つまり、債務者が帰責事由がないことを立証できれば、損害賠償を負う必要はない。

債権者は損害賠償の請求ができる場合、①履行不能であるとき、②債務者がその債務履行を拒絶する意思を明確に表示したとき、③債務が契約によって生じたものである場合でその契約が解除されまたは俵務不履行による契約解除権が発生したときは、債務の履行に代わる損害賠償(填補賠償)の請求ができる。

債務不履行は、①履行遅滞、②履行不能、③不完全履行の3つに分けることができる。

履行遅滞(412条)

(1)履行遅滞となる要件

①履行が可能であること
②履行期を過ぎていること

債務の種類 遅滞となる時期
確定期限付債務(1項) 期限の到来時
不確定期限付債務(2項) ①期限の到来後に債務者が履行の請求を受けた時または

②期限が到来したことを債務者が知った時のいずれか早い時

期限の定めのない債務(3項) 債務者が履行の請求を受けた時
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② 期限を定めない消費貸借においては、貸主は返還の催告をするには相当の期間を定めなければならず、その期間内に返還されないときに履行遅滞となる(591条1項)。

法律の規定によって生じる債務は期限の定めのない債務となるが不法行為による損害賠償義務は被害者が加害者に請求をしなくても発生と同時に遅滞となる。

③ 不履行が違法であること
同時履行の抗弁権等があれば、倍務不履行とならない。いいかえると、「自らも義務を果たそうとしていないような相手方からは、債務不履行だと責められるスジアイはない」ということである。

(2)効果

①債権者は債務者に対して、相当の期間を定めて催告をし、その期間内に履行がないときは、原則として債権者から契約の解除ができる(541条)。

ただし、その期間を経過した時における依務不屈行がその契約および取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、契約解除はてきない。

②例外として、定期行為(たとえば、クリスマスケーキのように12月26日に作り上げても懃床がないような行為)の場合は、催告なしに解除できる(542条1項4号)。

③履行遅滞により解除をする場合でも、解除をしない場合でも、債権者は債務者の責めに帰すべき事由により損害を被ったのであれば、債務者に対して損害賠償の請求ができる。

履行不能(412条の2)(1)履行不能となる要件

(1)履行不能となる要件

① 債務の履行が契約その他の債務の発生原因や取引上の社会的通念に照らして履行が不可能と判断されたこと(412条の2第1項)

② 履行不能が違法であること

(2)効果

① 次の場合、債権者は債務者に対して、催告なしに直ちに契約の解除ができる(542条1項)。

不可能な履行を求めても無意味だからである。

(ア)債務の全部の履行が不能であるとき

(イ)債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき

(ウ)「債務の一部の履行が不能である場合」や「債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合」において、残存する部分のみでは契約の目的が不達成のとき

(エ)契約の性質や当事者の意思表示により、特定の日時または一定の期間内に履行をしなければ契約の目的力可遠危成の場合、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき

(オ)上記(ア)~ (エ)のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が催告をしても、契約の目的達成に足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき

② 次の場合には、債権者は債務者に対して、催告なしに直ちに契約の一部の解除恨務者の責めに帰すべき事由がある場合は、あわせて損害賠償の請求ができる3 (415条、545条4項) 。

③ 債務者の責めに帰すべき事由がある場合は、あわせて損害賠償の請求ができる  (415条、545条4項) 。

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③ 契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であった(原始的不能)場合でも、債務不履行の規定( 415 条) によリ、その閥行不能によって生じた損害賠償を請求できる(412条の2第2項)。

④ 代償請求権(422条の2)
債務者が、履行不能となったのと同一の原因により債務の目的物の代償である権利または利益を取得したときは、債権者は、その受けた損害額の限度において、債務者に対し、その権利の移転またはその利益の償還を請求てきる。

不完全履行

(1)不完全履行となる要件

① 履行が不完全であったことな履行)

② 不完全履行が違法であること

(2)効果

①追完が可能な場合

完全な履行が可能な場合は、完全な履行を請求できる。債務者の責めに帰すべき事由がある場合は、あわせて損害賠償の請求もできる(415条)。

②追完が不可能な場合

直ちに契約の解除ができる。債矛各者の責めに帰すべき事由がある場合は、あわせて損害賠償の請求もできる(415条、545条4項)。

損害賠償の範囲と予定

損害賠償の範囲(416条、417条)

損害賠伯は、特約がない限り、金銭でその額を定めるものとされている。

当事者間で下記「4. 損害賠償額の予定」の取り決めがない場合は、損害賠位の額は「実損額」とされる。この範囲は、不履行から通常生ずべきと考えられる損害(相当因果関係に立つ損害、416条1項)であるとされている。

そして、相当性については、通常の事情のほか、伯務者が債務不履行のときに予見すべきであったと考えられる特別な事情を基吼をとして判断される(416条2項、判例)。

中間利息の控除(417条の2)

将来において「取得すべき利益(逸失利益)」や「負担すべき費用」についての損害賠償の額を前払いしてもらう場合、前払いしてもらう者は、その「利益を取得」または濱用を負担」すべき時までの利息相当額を得ることができる。

「中間利息の控除」とは、将来において「取得すべき利益」や「負担すべき跨用」についての損害賠依の額を前払いしてもらう場合に、将来にわたって発生するはずの利息分を差し引くことをいう。そして、将来において「取得すべき利益」または「負担すべき費用」についての損害賠償の額を定める場合、その「利益を取得」または「費用を負担」すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする。

過失相殺 (418条)

債す各の不履行またはこれによる損害の発生もしくは拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任およびその額を定める。

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⑤過失相殺は、債務者からの主張がなくても、裁判所が職権で行うことができる。

ただし、債権者の過失となる事実については、債務者側が立証しなければならない(判例)。

損害賠償額の予定(420条)

当事者間で、あらかじめ損害賠償請求権力啜湘生した場合に備えて、損害賠償の額を定めておくことができる。

これを損害賠償額の予定が公序良俗違反となるときは、その全部または一部が無効となるとされている(判例)。

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⑥違約金は損害賠償額の予定と推定される。

金銭債務の特則

金銭を目的とする俵務(代金債務、貸金俵務等)については、金銭の特殊性から、特別の規定がある。

要件の特則(419 条2 項• 3項)

(1)金銭債務は履行不能となることはなく、履行遅滞のみしか認められない。

(2)不可抗力町こよることを証明しても、責任を負わなければならない(帰責事由は不要)。

(3)債権者は、損害の証明をすることなく損害賠償の請求ができる。

※ 不可抗力: 人の力ではどうすることもできない外からの力。天災・地変の類をいう。

効果の特則(419条1項、404条)

(1)金銭債務では実際の損害は問題とされず、遅延利息というかたちで損害賠依がなされる。

損害賠償請求できる金額は、原則として、俵務者が遅滞の責任を負った最初の時点におけるよ定-- (年3%)による。ただし、約定利率が法定利率よりも裔いときは約定利率による(419条1項、404条1項・2項)。

(2)年3%という法定利率は、3年を1期とし、1期ごとに、次の(3)により変動するものとする(404条3項)。

(3)各期における法定利率は、この法定利率に変動があった期のうち直近のもの(直近変動期) における基準割合と当期における基準割合との差に相当する割合(その割合に1%未満の端数があるときは、これを切り捨てる) を直近変動期における法定利率に加鉢し、または減算した割合とする(404条4項) 。

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⑦「基準割合」とは、各期の初日の属する年の6年前の年の1月から前々年の12月までの各月における短期貸付けの平均利率(当該各月において銀行が新たに行った貸付け(貸付期間が1年未満のものに限る)に係る利率の平均をいう)の合計を60で除して計算した割合(その割合に0.1%未満の端数があるときは、これを切り捨てる)として法務大臣が告示するものをいう(404条5項)

契約の解除 (540 条・544条~548条)

解除権の発生

契約を解除できる事由には3つのパターンがあり、合意解除以外は、解除権を有する者からしか解除できない。

① 法定解除 → 法律の規定により解除権が発生する。【例】債務不履行、売主の担保責任等

② 約定解除 → 契約に特約をつけて解除権の発生する場合を決めておく。【例]解約手付、買戻し特約等

③ 合意解除 → 当事者間の契約後の新たな合意によって契約の効力をはじめからなかったものにする。

解除の方法

(1)解除権を有する者がその相手方に対して「契約を解除する」旨の意思表示をするだけで、この契約は解除されてしまう。

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① 相手方の承諾は解除のための要件ではない。

(2)解除の意思表示をしたら、それを撤回できない(540条2項) 。

(3)当事者の一方力咋復数いるときは、全員から、または、全員に対して行わなければならない(「解除権の不可分寸生」544条1項)。

解除の効果

原状回復義務

解除がなされると契約ははじめからなかったものとして処理される注;(判例)。

したがって、両当事者は原状回復義務を負うことになる(545条1項本文)。

この原状回復義務も同時履行の関係に立つ(546条)。

※ 「未履行伯務」吟履行しなくてよい。

「既履行のもの」→ 互いに返遥する。

(1)返還すべきものが金銭以外の場合

受領のとき以後に生じた果実(賃料等)をも返還しなければならない(545条3項)。

(2)返還すべきものが金銭の場合

受領のときからの利息をつけて返還しなければならない(545条2項)。

(3)返還すべきものが転売されている場合

契約の解除による原状回復によって、第三者の権利を害することはできない(545条1項ただし書)。

原状回復によって返還すべきものが不動産の場合、それが第三者に転売され、その第三者が権利保護の要件として登記を備えているときは、返還を請求できない(判例)。

損害賠償

解除をしても損害が生じていれば、損害賠償の請求ができる(545条4項)。

解除権の消滅

催告による消滅

解除権の行使について期間の定めがなく、解除権を有する者が解除しないときは、その相手方から相当の期間を定めて「解除するか否か」催告をすることができ、その期間内に解除の通知を受けないときは、解除権は消滅する(547条)。

解除権者の行為等による解除権の消滅

解除権を有する者が、その者の故意またはその者の過失によって契約の目的物を著しく損倦させたり、加工などをして他の種類の物に変えたときは、解除権は消滅するが、解除権を有する者がその解除権を有することを知らなかったときは、消滅しない(548条)。

定型約款(548条の2-548条の4)

約款とは、大量の同種の取引を迅速・効率的に行うために作成された定型的な内容の取引条項を指す。従来、民法には約款に関する規定はなかったが、現代における大量生産・販売型事業の普及で、画ー的な条件で取引ができる約款の必要性が高まっていた。

そこで、民法では、消費者が合意した場合や契約内容として事前に約款が示されていた場合には、約款が有効であることが明確化された。

他方、消費者に一方的に不利な契約内容は無効であることも明記され、消費者を保護するよう配慮している。

定型約款の合意

(1)定型取引(特定の者が不特定多数の者を相手方とする取引であって、その内容の全部または一部が画ー的であることがその双方にとって合理的なものをいう)を行う合意(定型取引合意)をした者は、次の要件を満たした場合、定型約款(定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう門の個別の条項に合意をしたものとみなされる(「合意擬制」548条の2第1項)。

①定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき

② 定型約款を準備した者(定型約款準備者)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき

※[例】宿泊約款等

(2)上記(1)の条項のうち、相手方の権利を制限し、または相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様• その実情および取引上の社会通念に照らして信義則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなされる(548条の2第2項)。

定型約款の内容の表示

(1)定型取引を行い、または行おうとする定型約款準備者は、定型取引合意の前または定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を表示しなければならない。ただし、定型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し、またはこれを記録した電磁的記録を提供していたときは、表示義務を負わない(548条の3第1項)。

(2)定型約款準備者が定型取引合意の前に、定型約款の内容の表示請求を拒んだときは、この約款は契約内容にならない。ただし、一時的な通信障害が発生した場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない(548条の3第2項)。

定型約款の変更

(1)定型約款準備者は、次の場合には、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなされ、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる(548条の4第1項)。

①定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき② 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、その他の事情に照らして合理的なものであるとき

(2)定型約款準備者は、定型約款の変更をするときは、その効力発生時期を定め、かつ、定型約款を変更する旨、変更後の定型約款の内容、その効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければならない(548条の4第2項)。

(3)上記(1)② による定型約款の変更は、変更後の定型約款の効力発生時期が到来するまでに周知をしなければ、その効力を生じない(548条の4第3項)。

なお、上記(1)①の場合には、周知が遅れても、相手方の不利益にはならないので、対象外である。

(4)①(2)の不当条項規制(548条の2第2項)の規定は、定型約款の変更には、適用されない(548条の4第4項)。

手付(557条)

手付の性質

手付の目的

手付は契約を結んだときに相手方に渡す金銭等で、その目的は3つ考えられる。

(1)証約手付 →  契約が成立したことの証拠とする。これはどんな手付金にも認められる。

(2)解約手付 → 契約が成立しても、相手方が契約の履行に着手するまでは契約を解約(正確には解除)できるようにするために手付金が授受される。一種の約定解除権である。

(3)違約手付 → 当事者の一方の債務不履行に備えて交付される手付である。

推定規定

手付の目的は当事者間の取決めによるが、特に目的を定めなかった場合は、「解約手付」と推定される(557条) 。

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① 手付には、複数の目的をもたせることもできる。

解約手付による解除

解除時期

相手方が契約の「履行に着手」2する前であれば

[買主から・・・手付の放棄][売主から…手付の倍返し] により、契約の解除をすることができる(557条1項)。
ただ、売主から解除するには、手付の倍額を現実に提供する必要がある。

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② 「履行に着手」とは、

【例】

①  売主 → ア 所有権移転の仮登記申請  イ 売却を前提とした、買主の希望に応じた土地の分筆登記申請 等
②  買主 → ア 売買代金と引換えに目的物の引渡しを求めた  イ 内金・中間金の支払い  ウ 残代金の支払い(住宅ローンの申込みは該当しない) 等

解除の効果

解約手付による契約の解除は、俵務不履行による解除と異なるから、解除しても損害賠償等を請求できない(557条2項)。

逆に、解約手付が交付されている場合であっても、相手方に伯務不履行があれば、債務不履行による契約の解除ができる。このとき、原則として手付の額に関係なく損害賠償を請求することができ、また、手付を交付した者は手付の返還を求めることもできる。

契約不適合責任(562条~ 572条)

契約不適合責任の性質

特定物・不特定物の売買を区別することなく、売買契約において引き渡された目的物が種類・品質・数量・権利に関して「契約の内容に適合しないもの(契約不適合)」である場合、売主は契約不適合責任を負う。

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①売買の目的物について、買主が欠陥を認識していたり、外形上明らかな欠陥があった場合でも、この「契約不適合」があリ得るので、「隠れたもの」である必要はない。

② 「契約不適合」かどうかは、契約締結の前後だけで区別するのではなく、引渡しの時までに発生したものも含まれる。

③契約不適合貢任は、債務不履行一般の「損害賠償請求」のルールによる。

したがって、債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときや債務の履行が不能であるときは、債権者は、 「損害賠償請求」ができるが (415条1項本文)、「債務不履行が契約その他の債務の発生原因および取引上の社会通念に照らして債務者に帰貴事由がないとき」は、「損害賠償請求」ができない (同ただし書。)

契約不適合責任の内容

引渡目的物が種類・品質に関し契約不適合である場合

売買契約において引き渡された目的物が種類・品質に関して契約不適合である場合、買主は、売主に対し、次のような権利を主張できる。

(1)追完請求(562条)

① 追完請求の方法

(ア)目的物の修補(修理等を求める)

(イ)代替物の引渡し(壊れていたり種類が異なっている場合、別の物を納めさせる)

(ウ)不足分の引渡し(数量が不足している場合、不足分を納めさせる)

②追完請求の方法の選択権

買主にある。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

③買主に帰責事由がある場合

買主は、履行の追完請求ができない。なお、売主の帰責事由は要件ではないので追完請求はできるし、双方に帰責事由がない場合でも追完請求はできる。(2)代金減額請求(563条)

(2)代金減額請求(563条)

①  履行の追完の催告

買主は、売主に対して相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がない場合、その不適合の程度に応じて代金減額請求ができる。

② 次の場合には、買主は、催告をせずに、直ちに代金減額請求ができる。

(ア)履行の追完が不能であるとき

(イ)売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき

(ウ)契約の性質または当事者の意思表示により、特定の日時または一定の期間

(エ)(ア)~(ウ)以外に、買主が催告をしても履行の追完を受ける見込みかないことが明らかであるとき

③ 買主に帰責事由がある場合

買主は、代金減額請求ができない。なお、売主の帰責事由は要件ではないので代金減額請求はできるし、双方に帰責事由がない場合でも代金減額請求はできる。

買主の損害賠償請求・解除権の行使(564条)

① 損害賠償請求

売主(債務者)の責めに帰することができない事由による(帰責事由がない) ものであるときは、損害賠償を請求できない(415条1項ただし書)。

② 解除権の行使

買主に帰責事由がある場合、買主は、解除権の行使ができない。なお、売主の帰責事由は要件ではないので解除権の行使はできるし、双方に帰責事由がない場合でも解除権の行使はできる。

目的物の種類・品質に関する担保責任の期間の制限(566条)

売主が種類・品質に関して契約不適合の目的物を買主に引き渡した場合、買主は、その不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、契約不適合による各請求や契約の解除ができない。

ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り(悪意)、または重大な過失によって知らなかったときは、この期間の制限はない。

引渡目的物が数量に関し契約不適合である場合

売買契約において引き渡された目的物が敬量に関して契約不適合である場合、買主は、売主に対し、次のような権利を主張できる。

(1)追完請求(562条)

(2)代金減額請求(563条)

(3)買主の損害賠償請求・解除権の行使(564条)

※ 目的物の数品に関する契約不適合甜任の期間の制限はない。

移転した権利が契約不適合の場合

売買契約において引き渡された目的物が権利に関して契約不適合‘である場合、買主は、売主に対し、次のような権利を主張できる。

(1)追完請求(562条)

(2)代金減額請求(563条)

(3)買主の損害賠償請求・解除権の行使(564条)

※ 目的物の権利に関する契約不適合沢任の期間の制限はない。

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④ 他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む)を売買の目的としたときは、売主はその権利を取得して賞主に移転する義務を負う(561条)。

この規定から権利に関して契約不適合となるケースには次の2つがある。

① 移転した権利が契約内容に適合しない場合

② 売主が寅主に、権利の一部を移転しない場合

不適合に関する特約

特約により契約不適合責任を免除したり、責任の内容を変えることができる。

ただし、売主が知っていながら買主に告げなかった事実、第三者に対し自ら設定または譲渡した権利については責任を免れることはできない(572条)

競売における担保責任等

民事執行法その他の法律の規定に基づく競売における買受人は、債務者に、契約解除や代金減額請求ができる(568条1項、563条)。

また、俵務者が物や権利の不存在を知りながら申し出なかったとき、または債権者がこれを知りながら競売を請求したときは、買受人は、これらの者に、損害賠償請求ができる(568条3項)。

しかし、競売の目的物の種類・品質に関する不適合については、担保責任を負わない(同4項)。

債務者の危険負担等 (536条)

債務者の危険負担等

 危険負担(原則、債務者主義)

(1)売買契約の当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行できなくなったときは、原則として、伯権者(買主)は、反対給付の屈行を拒むことがてきる。

俵務者(売主)が危険を負担することになる(536条1項)。

(2)債権者の帰責事由によって債務を履行できなくなった場合、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。

この場合、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない(536条2項)。

目的物の滅失等についての危険の移転

(1)売主が買主に、売買の目的として特定した物を引き渡した場合、その引渡時以後にその目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失・損俗したときは、買主は、その滅失・損傷を理由として、履行の追完の請求、代金減額請求、損害賠償請求および契約の解除ができない。

この場合、買主は、代金の支払を拒むことができない(567条1項)。つまり、危険が移転する基準時は、目的物の引渡時となる。

(2)売主が契約内容に適合する目的物をもって、その引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主がその履行を受けることを拒み、または受けることができない(「受領遅滞」という)場合、その履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその目的物が滅失・損傷したときも、買主は、代金の支払を拒むことができない(567条2項)。

1.履行遅滞中の履行不能(413条の2第1項)

債務者がその債務について遅滞の責任を負っている問に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその信務の履行が不能となったときは、その履行不能は、債の責めに帰すべき事由によるものとみなされる。

2.受領遅滞中の履行不能(413条の2第2項)

債権者が債務の履行を受けることを拒み、または受けることができない場合、履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によってその依務の履行が不能となったときは、その履行不能は、但権者の責めに帰すべき事由によるものとみなされる。

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