ニュース マンションみらい設計 マンション管理の基礎知識

既存住宅インスペクションとは

インスベクションとはどんなことをするの?

インスペクションとは 一既存住宅の取引における建物状況調査一

既存住宅(新築以外の住宅)を売り買いする際、物件の劣化状況は気になるところです。

売主はこれまでの維持管理を適正に評価してほしいと思いますし、買主は今後のリフォームの要否やメンテナンスの予定を見込んで取引したいと考えるでしょう。

国土交通省は、既存住宅の品質に関する正確な情報を消費者等に提供できるよう、平成29年2月に「既存住宅状況調査方法基準」を定めました。

これは、取引の前にその住宅の劣化事象等の状況を把握することを目的とした調在のために定めた基準です。

これを実際の売買に活用する仕組みとして、平成30年4月1日から、既存住宅の取引における宅地建物取引業者との媒介契約書面に、「建物状況調杏(インスペクション)」のあっせんの有無を記載することとなりました。

この調査を実施している場合は、売買の際に必要となる重要事項説明で、調在結果を説明することが義務付けられました。

この調査は有料ですが、売主側も、購入を検討している側も利用できます(利用者が調査費用を負担、費用は調査会社・調査対象によって異なります。)。

調在の依頼先は、既存住宅状況調脊技術者の登録制度がありますのでそこから検索が可能ですし、宅地建物取引業者が調査者と提携している場合はあっせんもしてもらえます。

インスペクションという言薬自体は視察や調査を意味し、民間ですでに広く使われていると思います。

今回はこの[建物状況調杏Jのインスペクションについて取り上げます。

共同住宅での調査項目と調査範囲

調杏項目は大きく分けて、①構造耐力上主要な部分、②雨水の侵入を防止する部分、③耐震性に関する書類、の3点です。配管などの設備については上記の調杏方法基準には規定はありませんが、依頼者の希望によりオプション項目として調査することができます。

調在方法は計測や目視が中心で、原則として非破壊であり、調杏範囲は足場が必要なく行き来ができる位置で行います。

家具等で隠蔽されている部分などの確認ができない箇所は、調査できないものとして扱います。

マンションの場合は「住戸」と「住棟」をそれぞれ別にして調査することができ、各々調査の方法や箇所数が違います。

「住戸」の調査範囲は外壁、屋根、そして共同住宅の主入口から当該住戸までの経路と、住戸から確認できる部分が調査の範囲となりますが、長期修繕計画書があれば、外壁と屋根は調査から外すことができます。

一方「住棟Jの調査は、建物の規模で範囲が異なります。

階数が3階以下で延べ面積が500m未満の「小規模住宅」の場合は屋根と全ての階を、それ以外の規模では、原則として、屋根と最下階、最上階、最下階から数えて2の階、最下階から数えて3に7の自然倍数を加えた数の階で調査を行います。

写真1シュミットハンマー

写真2シュミットハンマー調査状況

写真3レーダー探査機

写真4鉄筋調査



① 構造耐力上主要な部分の調査( 鉄筋コンクリート造の場合)

鉄筋コンクリート造の建物では、甚礎、外壁、内壁の幅0.5 mm以上のひび割れの有無、床の6 / 1,000以上の勾配の傾斜の有無、その他コンクリートの欠損や鉄筋の露出、さび汁など著しい劣化の有無を調べます。

タイル仕上げの場合は、ひび割れ状況やタイルの浮き・剥落なども調べます。

ちなみに、ひび割れの幅が0.3mm以上あれば、雨がかりでは漏水を起こしている可能性があります。

大規模修繕を適時行っているマンションであれば、この辺りの劣化状況は間題なくパスできるでしょう。

また、「小規模住宅」以外ではコンクリートの圧縮強度の調脊が必要になります。

ただし、中間検壺制度が始まった平成11年5月1日以降に確認済証の交付を受けた建物の「住戸」調査については不要です。

コンクリートの圧縮強度は、円柱状にコンクリートを抜き取り試験機関で破壊して強度を調べる方法もありますが、非破壊の反発度法試験器(リバウンドハンマー、シュミットハンマーと呼ばれます。)による調査も認められています。ただし反発度法の場合、平滑なコンクリート面で測定する必要があるので、塗装がされていないパイプスペースの璧などで行うことが多いようです。

過去に信頼性のある調査が行われている場合は、その結果を活用することができます。

耐震診断(簡易的なものを除く)を行ったマンションではその時の圧縮強度試験結果があるはずなので、確認してみると良いでしょう。

さらに、小規模住宅以外の住棟の調査では、鉄筋の本数・間隔についても調べます。

レーダー探壺機などを用い、新築時の設計図書と比較して不足が無いか確認します。

② 雨水の侵入を防止する部分の調査( 鉄筋コンクリート造の場合)

外壁の窓やバルコニー回りにおいて、シーリング材の破断や欠損がないか、建具の隙間がないか、室内に漏水跡がないか、屋根の防水材の劣化がないかを調べます。

③ 耐震性能に関する書類の確認

いわゆる新耐震基準の建物(昭和56年6月1日以降に確認済証の交付を受けた建物)か否か、旧耐震基準の建物の場合は、耐震診断の結果、もしくは耐震改修後、安全性が確認されたかを書類から調べ、新耐震基準の場合はその後に構造耐力にかかわる部分の改変を行ったか否か確認して、耐震関係の基準に適合しているか否かをチェックします。

インスペクションには管理組合の協力が必要

以上、簡単にインスペクションの調査箇所と調査の内容を説明しました。

ここまででお分かりいただきましたように、[住棟」の調査はもちろん、「住戸」の調査であっても、屋上や廊下などへの共用部分の立入りがあります。

また、新築時の図面・長期修繕計画書、耐震診断報告書の閲覧なども必要となります。

区分所有者のみでこれらの書類を用意するのは難しく、管理組合の協力なくしてこれらの実施は不可能です。

インスペクションの協力依頼が来た時は、管理組合は調壺会社の連絡先、調査の日時、調査範囲を確認し、調森者に設計図書等の貸出し•閲覧の方法、屋上等施錠部分の鍵の貸出し方法を指示しましょう。

コンクリート強度の調査や鉄筋調査などは、内装材があって調査ができませんので、一般的には外壁の部分で確認することになります。

どこで調牡を行うかを確認し、「調査のお知らせ」を調査会社に用意してもらって掲示しておくと良いでしょう。

-ニュース, マンションみらい設計, マンション管理の基礎知識